top of page

「真空管アンプ」

 

カシワギカフェでは店主が設計、製作した各種オリジナルアンプを展示しており店内のBGMに使用しております。

その多くはバランス入力を備えた全段バランス構成のプッシュプルアンプです。

 

「全段平衡回路について」

プッシュプルアンプでは通常アンバランス入力から正相、逆相の二つの信号を得るために位相反転回路を使用しています。真空管アンプの位相反転回路にはいくつか方式がありますが、回路によっては完全に対称な正相と逆相の二つの信号を得ることが難しい回路もあります。また、位相反転回路が入ることによりシングルアンプに比べ一段回路が増えることも意味します。ところが、最近のCD機では通常よく使用されるアンバランス出力とともにバランス出力を備えているものがあります。バランス出力では正確な正相、逆相の二つの信号が同時に得られますのでこれを直接アンプに利用すれば位相反転回路を使用せずにプッシュプルアンプが作れることに なります。これを実現したのが全段平衡回路のアンプです。

 

「全段平衡アンプの特長」

アンプ回路の中には位相反転段が介在しないため信号経路は通常のプッシュプルアンプと比べ一段少ない回路構成となり音質の向上が期待できます。CD機から供給される正相、逆相の二つの信号を両方使用しますのでCD機の音質の特徴がよりダイレクトに再現されることも期待できます。実際に音質を聴いてみると以下のような特徴があります。真空管アンプ独特の音の暖かさは維持しながら今までの真空管アンプでは得られなかった音場の広がりとクリアな音像の定位感が得られます。

 

「KT120アンプ」

カシワギカフェの主力現用アンプです。元はKT88/6550系の出力管を使用することを想定して計画しました。すでにKT88の発展型であるKT90やKT100が登場していましたが、設計を開始した段階でさらに容量が強化拡大されたKT120やKT150などが出てきたため、それらにも対応できるよう設計しました。KT88からKT150まで幅広く対応できるように余裕のある電源回路になっています。電源トランスは特注のRコアトランスを使用しています。アンプ部の回路は全段バランス構成で、入力から出力段まで平衡回路を構成しています。初段管はWE420相当管の高信頼管として製造された5755を使用したSRPP回路です。最も重要な出力トランスはタムラの最高級機種であるF2012を使用しています。このトランスは 音質、出力ともに世界最高水準の出力トランスと言えます。出力管の差し替えを容易に行えるよう各出力管に個別の可変バイアス回路と電流計を備えています。そのため、プッシュプル間のバイアス電流の誤差も最小限に調整することが可能です。大型トランスを採用して重くなるため、ステレオではなくモノブロックを二台作って使用しています。

 

「EL34ステレオアンプ」

回路は全段平衡回路構成で、バランス入力からダイレクトに増幅した信号でプッシュプル段をドライブしています。出力トランスはハシモト製を採用しています。電源トランスは市販のものに適当な電流値と電圧がなかなか見当たらないため、カットコアの特注品を使用しています。カットコアやRコアに比べると市販のEIコアのトランスは重く寸法も漏洩磁束も大きいうえに発熱も大きいなど難点が多いため極力使用を避けています。出力段は自己バイアス方 式を採用 し、これにより無調整で球の差し替えができるようにしています。

 

「300Bアンプ」

昔から音質には定評があり、世界のオーディオマニアから絶大な支持を受けている銘球300Bは今でも幾つかのメーカーで製造されており、数年前からは国内メーカーも生産を始めました。その300Bを使った全段平衡回路によるアンプです。季刊誌「管球王国69号」でも紹介されました。出力トランスはタンゴXE60を使用しています。ステレオアンプにすると重くて持ち運びが困難になるため、モノアンプ二台としています。電源トランスはカットコアを使用した特注品です。

 

 

「EL34アンプ」

EL34は多くのメーカーから発売されています。同じEL34でもメーカーによって音質が異なります。メーカーによってはEL34の発展型であるE34Lという球も発売されています。そうした多くのEL34系出力管を聴くために製作しました。出力トランスにタムラの最新型F925を採用して電源トランスには特注のRコアトランスを使用しています。ステレオにするとアンプの重量がかなり重くなり持ち運びに不便なことと丈夫なシャーシが必要になるため、モノブロックを二台作りました。各出力管に独立したバイアス調整回路と電流計を設け出力管の差し替えに対応しています。

bottom of page